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里と湖のポレポレ時間~

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K君の優しさ

K君はアゴラに幼稚園から通ってきている。
今中学3年生。
K君は八月大事な人を亡くした。だからアゴラに来れなかった。
やっと大好きなアゴラに行ける!って思っていたのに・・・アゴラの先生が事故にあった。
K君は悲しんだ。
大事な人が僕から離れていく・・・
悲しくって悲しくって・・・
でも僕はアゴラが好きだからねって、先生がいないアゴラに来てくれた。
今日はおばちゃん先生とK君二人の教室だった。
いつもは絵を描くK君、今日はずっとおじさんと先生の事を話してくれた。
ツクツクボウシが遠くで鳴いている。秋めいたアゴラはどことなく寂しかった。
15年ずっとアゴラの先生がいつもいた。
その風景が今はちょっと時が止まったかのような感じでぎこちない。
その中で、K君は大事な人の話をずっとしてくれた。
悲しい・・・心配なんだ。
先生大丈夫?ひとしきりに聞き続けるK君。
そんなK君と一緒に気分転換に里山に散歩に出かけた。
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K君を知ったのは二年前、K君は時々落ち込んだり、不安定な様子を見せるときがあった。
そんなK君と、コミュニケーションをとれるようになったのはいつからだろうか・・・
何となく私の存在を受け入れてくれたK君。
そんなK君と今は二人で散歩に行っている。
不思議な感じ、緩やかな優しい時間。息子と同い年のK君。息子とはちがう、もっと純粋かも知れないね〜。
散歩道でもずっと先生の事心配してた。
すると目の前に大きな里芋の葉っぱを見つけた。
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K君は多分170センチはあるんだよね、その背丈と変わらない里芋と背比べ。思わずK君はピースした。
私の足の何倍もの大きな葉っぱ。
ちょっと、水を落ちしてみて遊んだ。
K君も笑った。
里山の散歩って気持ちいい。風と空気と虫と自然・・・悲しい心を解きほぐす。
K君落ち着いたかな?
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そしてK君はアゴラに帰って手紙を書き始めた。
先生に、早くよくなってくださいって・・・
自然に思いを表現するK君。
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次のアゴラの教室の時、K君は一眼レフのカメラを持ってきた。
初めて見た、K君がカメラをもってきたこと、写真を撮るところ。
なんかちょっと意思を持ったK君をも見た。
K君はずっとアゴラの自然の中にいた。そしてカメラを自然に向けていた。
中の子どもたちと関わりながら、外のK君を時折見に行く。
K君は、いっぱいいっぱい写真を撮った。
どうした?今日は、カメラ持ってるんだね♩って言ったら・・・
「うん、僕のカメラだよ。病室で寝ている先生にアゴラの写真をとって見せてやりたい!」ってK君は言った。
あ。。。K君・・・
実は先生は入院してからずっとアゴラの自然が見たいと言っていた。
時々写真をとって病室に持っていっていたが・・・
K君、本当に今大事な人が何を欲しているのか、どうしたいのかがわかるんだね。

二日前、アゴラの先生ところにK君はお見舞いに行った。
二度目のお見舞いだ。
先生はうれしかったと涙ぐんでた。
K君は、りんどうの花とオレンジのガーベラの花を持ってきた。
そしてベット上で固定された先生の手を取り、K君は先生の手を頬にあてた。
「先生、早く良くなって」と。
先生は、私にこの話をしきりにした。
「本当お優しさって、嘘じゃないんだよ。倒れていた人がいたらあなたはどうする?自分の立場云々・・・前後左右のことを大人も子どもも思案してとっさに行動できない今。その中に、とっさの行動、優しさ、いたわる気持ち、・・・本当に純粋な気持ちをKはもっている。嘘偽りない優しさ。
お見舞い・・・本当に見舞う意味、心寄せる思いは物でもない、見せかけでもない、・・・今この人がどんな状況にいて何を欲しているか・・・」
白い壁に囲まれた病室のベット上が唯一の先生の今の空間。
孤立、不自由さ、この上ない限定された空間の中にいる先生の気持ち。
K君の自然の行為、人を愛しいと思う気持ちが先生の気持ちを解きほぐした。
10年近くK君に寄り添い関係を作ってきた先生がいて、10年近くアゴラを大事な場所だと思ってきたK君がいて〜、先生の15年は、そういう子どもたちの絡み合い。
by agorakodomo | 2012-10-07 20:55 | 子供達のこと