先生はびわ湖のアゴラの子供達を想像し、材料の手配をします。
なるべく自然を感じ取れる素材を使おうと、先生は裏山のクサキやセンダンの木を切り倒します。
ゼンダンの木やクサキは5年前にはここに無かった木。
小鳥がある時種を落とし、根付いた訳です。
2013年、アゴラで植樹をしました。その時には細い小さな苗木が生えていました。
次の年大きくなりそうだったので、途中でカットしました。
次の年は切った所からその倍以上伸びました。
次の年はもっともっと大木になりました。
切らないと、植えた柏の木が大きくならないから、また切った所を又切ります。
でも大きくなった大木をそのまま切ると大けがをします。
だから、ロープをかけて、近くの大きな木にくくりつけて、伐採してもドサッと倒れないように試みます。
先生が木を切り、私がハシゴを押さえ、ある程度切れたら、ロープを山の奥に引っ張って危険のないように倒します。
センダンの木にはたくさんのムカゴが絡まっていました。
おばちゃん先生は嬉しくって、高くてとれない場所の実り多いムカゴをたくさん収穫しました。
さ〜びわ湖の子供達に持って行くとしよう。
先生は切った大木をまた細かくカットして車に乗せます。
びわ湖に通うってこういうことを毎回やっているのです。
さていつものようにみんな鳥のを描きます。
同じ事の繰り返し。又やるの・・・ってこのびわ湖では聞こえないけれど、子供達や大人たちからもたまに聞こえる言葉。
でもこの繰り返し描くことで、本当に人って変化するのです。物の見方が変わります。大概に見ている日常から、おや?って考える事が出来るように変わります。
こんなもんで?って思われるでしょうが、本当に不思議。やらされているって感覚では如何せんですが、自ら続ける行為でどんどん見えてくる。観察する目が養われ、いつしか思考し、発見する目になってきます。
今教育により、美術はどんどんいらない教科になってきている。みんな競争煽られて、五教科が大事、運動大事って思っているだろうけれど、確実に与えられる事でしか答えられない子どもが増えている。と言う事は大人も同じ教育の中で育っていたら思考できない与えられた事でしか動けない人が生まれている。日常の行政の広報で、危険を察知して、行政の言う通りにしか動けない人が出来ている。政府がまともならその行政の言う事はまともだろうけれど・・・まともでなかったなら行政通達はどうなるだろう。そこにあれ?って思えない。何が正しいか、何が面白いのか、何が・・・何が?わからない。
そんな大人にならないで!・・・だから日常の丁寧な行為は大事。
里山のアゴラでも続けた事。そしてびわ湖でも続けます。この行為の先に大きな変化が生まれます。
アゴラの柿の木についていたシマヘビの抜け殻。
びわ湖の子供達にも見せようって持ってきた。
びわ湖の野鳥センターへ寄贈しました。
こんなに保存のいい抜け殻はめったにないとか!?
野鳥センターの植田さんもやってきて教えてくれます。アカゲラの爪を見てご覧!四本あるよって教えてくれた。
1年生のY君、ヘビの抜け殻を前に先生が長い紙を用意してくれました。
Y君、ずっとヘビの抜け殻とにらめっこ。
「どうした?」
「ぼく、絵うまく描けないんだ・・・」ってぽそっという。
「・・・そうかな?この間のSL上手だったけれど・・・」
アゴラの先生は言います。
子供達の自信を簡単に削ぐ大人がいるんだよって。自信は簡単にとられちゃう。絵が嫌いな子は本当はいない。嫌いになる原因があるんだよ。大人が大人の基準で簡単に評価する。うまい下手・・・いい悪い。必要必要でない・・・学校へ行くとどんどん評価されていく。その評価に子どもはどんどん自分を小さくしてしまうんだよって。
大事に大事に子供達を育てましょう。
たった一言で子供達は潰されていく・・・
長い長いヘビさんを描こうって描き出したY君。でもえんぴつが動かない。
「お!線路のように走り出したぞ!シュシュシュ・・・長く長くそら行け!いいぞ!長く長く・・・」
するとY君のえんぴつはどんどん動き出して、顔の所までやってきた。
「おお!ヘビが描けた!いいよいいよ!」そんな風に声を描けた。
そしたら次にY君、今度はヘビの模様を一個一個丁寧に描き出した。
でも10個描いて途方にくれかけた・・・
んじゃ〜な、こっちおいで!って外にY君連れて行って、細い枝をノコギリで切ろうと促した。
Y君、工作は大好き!だからノコギリでぎっこぎっこと切り出した。直径2センチ、長さ10センチの枝が切れた。おばちゃん先生は枝の中をナイフで彫って六角様のハンコが出来た。
じゃあさ〜、これで絵の具使って模様を描こうよって促した。
Y君、赤い絵の具を選んでハンコみたいに描き出した。
子どもの好奇心を引き出す事をしなさい!ってアゴラの先生は言う。
削ぐ事は出来ても好奇心を引き出す事をやっていない大人。そのことを私はアゴラでお手伝いさせていただいてからずっとずっと言われてきた。アゴラの先生は本当に子供達のやる気スイッチを押すのが上手。特に純粋な幼稚園の子には大変人気。幼稚園に講師に行っている先生に子どもたちは先生!ってまとわりついてくる。
おとなしかった子は今アゴラで生き生きしてる。
心の病気だって言われた子どももどんどん自分を取り戻し、薬が減った。
Y君もいつも先生に作った工作を持ってくる。
幼稚園以上に学校に行けば、うまい下手の判断はついていく。自信をなくせば好奇心は生まれない。
そんなことをいっぱいいっぱい私も教わった。その受け継ぎをたくさんの大人が出来たならこの社会は変わっていくだろう。
好奇心おう盛なSちゃんの作品。いろんな角度のキツツキ。いいね!
ひたすら描く同年代の子たち。
さて、今日は木の楽器。天気がいいので外にブルーシート敷いて大きな木をノコギリで切ります。
今日は釘を使わない。木の棒で繋ぎあわせていく。
細い枝に先生はドリルで穴をあけてくれる。
一個一個長さを変えてノコギリで切って、紙ヤスリで擦って、穴をあけた所に紐を通す。木の長さが違うから音が変わるんだよ。
5年生のS君は家で大工仕事をお母さんとやっている。だからナイフを持つ手つきがいいね!
それに先生に穴をあけてもらって紐を通す作業を、自ら枝に溝を作って紐がとめれるようにしてた。
工夫するS君。そう!それが想像し創造すること!
木槌で木と木をはめていきます。
ボンドで補強。
集中している表情っていいね。
大人も木を切るのに大変そう。
先生、結構手をけがしてた。先生の頑張りのおかげです。
結構固いんです、この木。
小3のSちゃんも頑張っている。
安定が悪くって、丸い丸太の底の部分をナイフで切ったんだ!それも僕の提案です。
いい音なるぞ♩
5年生のTちゃんとHちゃんは、七夕のように短冊に願い事を書くように一個一個の枝に願いを込めて。合奏です。